改訂 森林・林業・木材産業の将来予測
データ・理論・シミュレーション
森林総合研究所(著/文 他)
A5判 378ページ 並製
定価 3,143円 (本体価格 2,857円)
ISBN978-4-88965-211-6 C0061
絶版
奥付の初版発行年月 2012年03月 書店発売日 2012年03月30日
解説
注目の「将来予測」を全面改訂した待望の書。2030年に向けたシナリオを示す!
紹介
注目の「将来予測」を全面改訂した待望の書。2030年に向けたシナリオを示す!
目次
序 1
第1章 世界の林産物需給予測 11
1.世界の森林資源と丸太生産 13
(1)FAOによる森林資源統計 13
(2)世界の森林面積とその変化 14
(3)世界の森林蓄積量とその変化 16
(4)世界の人工林面積とその変化 20
(5)世界の丸太生産 21
2.世界の林産物生産・貿易・消費 23
(1)製材品、木質パネル、紙・板紙の消費量とその変化 23
(2)製材品、木質パネル、木材パルプの生産量の変化 24
(3)林産物生産における原料と製品の投入産出関係 25
(4)丸太および木材製品価格の動向 25
(5)丸太および林産物製品貿易の動向 27
3.林産物需給モデルと将来推計 28
(1)経済成長と林産物需要 28
(2)林産物需給モデル 28
(3)林産物需給の長期推計 29
(4)世界の林産物需給に与える中国の影響 32
(5)まとめと考察 36
第2章 森林資源の動向と将来予測 41
1.はじめに 43
2.森林面積とその変動 43
(1)森林面積の歴史と現在 43
(2)人工林面積および樹種群別面積の変動 44
(3)齢級別面積の変動 46
3.森林の蓄積量、成長量と伐採量 48
(1)蓄積量と成長量 48
(2)過去の人工林齢級別伐採率と樹種別伐採率 50
(3)成長量、自然枯死量と伐採量の長期的な関係 52
4.将来の方向性 53
(1)個別経営の視点とマクロの伐採計画 53
(2)再造林に関する検討 57
5.林齢別面積評価システム(FADAS)による森林資源の長期見通し 61
(1)主な変更点 61
(2)シミュレーションの設定 63
(3)シミュレーション結果 63
6.まとめ 70
第3章 木質バイオマスのエネルギー利用 73
1.エネルギー利用の現状 75
2.林地残材の低コスト供給を実現するには 77
(1)林業連携型の林地残材供給 77
(2)全木集材の拡大 78
(3)土場におけるチップ化 79
(4)チッパートラックやチッパートラクターによる高効率チップ生産 81
3.経済的な木質バイオマス利用の拡大 83
(1)高性能チップボイラーによる熱利用 83
(2)石炭混焼発電 87
4.今後の可能性について 90
(1)木質バイオマスの供給可能量について 90
(2)木質バイオマスのエネルギー利用の今後について 91
<コラム>再生可能エネルギーの固定価格買取制度 96
第4章 林業機械の将来予測 101
1.はじめに 103
2.わが国で林業機械が進歩しなかった背景 105
3.欧州の林業機械―これからの10年のために― 107
(1)CTL作業システム 108
(2)ハーベスタ 109
(3)林内走行に適したベースマシン 110
(4)架線系機械とリモートコントロール 112
(5)コンビマシン 113
(6)バイオマスの収穫 114
4.将来の林業機械―次の10年の技術開発― 116
第5章 森林所有者の経営意向 119
1.はじめに 121
2.調査方法と対象地 121
3.結果と考察 122
(1)回答者と保有森林の属性 122
(2)過去3カ年の木材生産動向 123
(3)将来の木材生産意向 125
(4)期待する立木価格と伐採収入 128
4.まとめおよび結果から示唆されること 131
第6章 山村人口の動態と将来予測 135
1.はじめに 137
2.2000年以降の山村対策 137
3.2000~2005年の山村人口動態 138
(1)時系列にみた山村人口変動の特徴 138
(2)都道府県別にみた山村人口変動の特徴 141
4.将来推計の方法:コーホート変化率法 144
5.将来推計結果 148
6.おわりに 152
第7章 林業作業者数の動向と将来予測 155
1.はじめに 157
2.使用データおよび推計方法 157
3.林業作業者の参入退出の動向 158
4.林業作業者数の将来推計 161
5.使用データに関する検証―国勢調査と高知県実施調査との比較― 164
6.まとめと考察 170
第8章 木材産業の動向 175
1.概観 177
2.製材業 179
3.合板製造業 183
4.集成材製造業 186
5.プレカット加工業 189
6.紙パルプ製造業 191
7.木材産業の現状と展望 194
第9章 木質建材の将来予測 201
1.はじめに 203
2.用語の意味 204
3.木造建築と木質建材を取り巻く情勢の時代区分 206
4.戦後における木質建材と木質構造の変遷 208
5.国産材製材 210
(1)製材の人工乾燥技術 210
(2)製材の強度的信頼性の向上 211
(3)ツーバイフォー材としての利用 212
6.木質材料の原料としての国産材 213
(1)スギ厚物合板 213
(2)スギ集成材 214
(3)接着重ね梁 215
(4)クロスラミネイテッドティンバー(CLT) 216
(5)その他の製品 216
7.建築・土木分野での国産材利用 217
(1)耐火集成材 217
(2)内装外装の難燃化 218
(3)ヒートアイランド対策 218
(4)土木分野 218
第10章 住宅産業の動向と木造住宅着工数の将来予測 221
1.はじめに 223
2.住宅産業の動向 223
(1)住宅着工数の推移 223
(2)住宅における木材・国産材の使用 224
(3)木造住宅の供給者と取得者 226
3.木造住宅着工数の将来予測 230
(1)はじめに 230
(2)予測手法 231
(3)結果 236
(4)まとめ 250
<コラム>住宅着工戸数予測あれこれ 253
第11章 非住宅を含めた建築着工数の将来予測 255
1.はじめに 257
2.建築着工―ストックモデルの構造 257
3.建築物ストック量の推計 259
4.建築物着工量の推計 261
(1)建築物着工量の算出 261
(2)着工建築の内訳に関するシナリオ 262
5.木材需要量の推計 264
6.おわりに 266
<コラム>これからの公共建築物とは 268
第12章 森林・林業政策にかかわる財政の動向 271
1.はじめに 273
2.森林・林業にかかわる財政支出の特徴 273
(1)支出額 273
(2)林野公共事業 273
(3)補助金 274
3.財政支出の推移 276
(1)支出拡大期から縮小期へ 276
(2)事業構成の変化 278
(3)国有林や公社の債務問題の影響 279
4.今度の見通しと課題 280
(1)長期的な財政支出の縮小 280
(2)公共部門が担う領域の再設定 282
<コラム>補助金依存を避け“自立を促す”支援策 285
第13章 国内林産物の需給予測 287
1.はじめに 289
2.ベースシナリオのシミュレーション結果 289
(1)消費量 289
(2)生産量 292
3.代替シナリオのシミュレーション結果 295
(1)消費量 295
(2)生産量 296
4.価格 298
5.おわりに 298
第14章 林業セクターの将来予測 301
1.はじめに 303
2.林業セクターモデルの構造 305
(1)林業セクターの基本的な仕組み 305
(2)各サブセクターの内容補足 307
3.結果と考察―林業セクターの長期動態― 314
(1)国産素材需要量が2030年3,900万m3に拡大するケース1 314
(2)ケース1に加えて、林地残材のエネルギー活用を図り、需給量を拡大するケース2 319
(3)考察 321
終章 日本林業の将来展望 329
補章 森林・林業・木材産業の統計 343
執筆者紹介 372
編集後記 377
前書きなど
・「序」から
2006年12月に刊行した森林総合研究所編『森林・林業・木材産業の将来予測―データ・理論・シミュレーション―』はおかげさまで好評を博し、版を重ねた。当研究所の交付金プロジェクト「森林・林業の資源的、社会経済的長期見通し手法の開発」(2003~2006年)の研究成果が、多方面で広く参考とされ、日本の林業・木材産業の発展に多少なりとも貢献できたことにまずもって感謝したい。
その刊行から5カ年が経過し、転機を迎えた状況下で、改訂版への待望の声が数多く寄せられた。「森林・林業再生プラン」の「森林・林業の再生に向けた改革の姿」(2010年11月)に基づく森林・林業基本計画が策定される時期に、研究の面から森林・林業・木材産業の将来を改めて検討することには意義があるという認識のもと、『森林・林業・木材産業の将来予測』を改訂することとした。
前書では、2020年を射程に入れた将来予測を行った。改訂版となる本書では、政策が木材需要の拡大を重視する方向性にあることを念頭に、木質バイオマスのエネルギー利用や住宅・建築部門の木材需要、素材生産および木質建材にかかわる技術予測について新たに執筆して構成し直すとともに、日本国の財政状況を勘案して林業財政も取り上げた。
独立行政法人森林総合研究所 理事長 鈴木和夫
版元から一言
注目の「将来予測」を全面改訂した待望の書。2030年に向けたシナリオを示す!
著者プロフィール